てしごと はじめのいっぽ!

日々の暮らしに手仕事を。

その人が、そのまま表れる---刺繍ボール講評

刺繍ボールワークショップにお招きいただき、3回の講習を終えました。

途中の方も、二個目ができた方も、今の時点での感想をお話しいただきました。

Aさん --- 勢いのひと

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やりたい、と思ったら、即行動。しかも速い。2回目のときに、仕上げて持ってきていました。

このボールも、しっかりとした縫い目です。

なんと、気に入らないところは一度ほどいたとか。

「納得いかないままだと、それを見るたびに後悔するから」

それでも速い。

私が刺繍ボール用に準備した毛糸は、3原色。

でも、緑の毛糸を買い足して、入れたそうです。

買い足すとは思わなかったので(笑)、「子どもたちの水彩やクレヨンと同じように、3原色が一応基本なので、最初にはそうご案内している」という説明をしたところ、「じゃ、次は3原色で作ります!」

そして作った二個目が、まさかの

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青系のみ、という……(笑)自由やな。「3原色で作ります」はどこへ行ったんや……(笑)

子育てについても勉強会に参加して、実践を繰り返しているAさんですが、決して講師の言いなりにはなりません。

気が付いたら「自分流」。そこがいい。好きにしなはれ。我が道をガッシガッシと行きなはれ。

好きなようにやった結果、「やっぱり、あの時言われた通りでした!」と、全速力で戻ってくることも、人生にはあるでしょう。それもいいじゃない。

そんなのどうってことないほど、ピンと張ったチェーンステッチ。きりっとした力強さを感じます。

2個目の手加減はふんわり、いい感じ。もうすぐ学校に上がる息子くんとの関係も、本人に任せるところは任せて、少しずつ、手を放し始めているとのことでした。

年長さん・年少さんのふたりの子持ちでありながら、いつも「素敵な前のめり」(笑)のAさん。

夕飯の準備で、後は煮るだけのお鍋を火に掛けた隙間時間や、お迎えに少し早めに行って園庭で待ちながら、少しずつ仕上げたそうです。

彼女の「速さ」の奥にあるのは、コツコツ地味な、積み重ねなんですね。

Bさん --- 内に秘めた「私らしさ」

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小学生と幼稚園児、二人の子育てをしつつ、お仕事もしているBさん。

刺繍ボール、「なんでこんな大変なものに取り掛かっちゃったんだろ……」とぼやきながらの参加でした(笑)

2回目までは、ちょっと仕上がるか、どうかなあ、と思っていたのですが

家で突然スイッチが入ってしまったらしく、「仕上げたい!」と、家に持ち帰った手持ちの毛糸だけでできる模様を考えて、仕上げたそうです。

毛糸を選んだときに考えていたイメージが、手を動かしていく中で、どんどん変わったのと、今ここにあるもので作ろうとしたので、最初に考えていたものとは違うものになってしまったとのこと。

「刺繍ボールのキーワードは”対称”です」と言っているのに、左と右の黄色・オレンジが全然違う模様です。

セオリーからは外れている。でも、全体で見るとバランスが取れている。

それが彼女の、one and only のバランス。素晴らしいですね。

「どうしたらいいんですか~」とよく質問してくださるのですが、「聞いてないんかいッ」っていうね(褒め言葉)。

結局は自分で答えを出す力のある方だな、とお見受けしました。

そして「あるものでやっちゃう。それで良しとする」っていうのは、働くお母さん業(しかも2男児)をやってくうえで、かなり大事な能力だな~と感服いたしました。

Cさん ---失敗を恐れない

「すっごくすっごく考えて、メジャーで測って、計算して、それで決めた模様だったんだけど、やってみたら「違う」と思ったから、ほどいたんです。」

 

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ほどいた跡が、見えますか? 

もはや勇者ですね。

Aさんと同じく、「このボールを見るたびに、ここで戻らずにサボったことを後悔しそうだから」というCさん。「戻る勇気」のある方です。

(Bさんは、「私なら、やっちゃったらもうそのまま進むわ~」と言ってました。さすが、その場にあるもので何とかする母。)

 

「すごく考えて、これだと思ってやってみたけど、やってみたら違った」

周りで見てるだけの人からは「ああ、失敗だ」「時間の無駄だ」と思われるかもしれませんね。

でもこれは、失敗ではなくて、「あのイメージは違う、という結果が得られた」という成功例。

行動に起こした人だけが得られる宝物です。その分、チェーンステッチも上手になっています。

I have not failed. I’ve just found 10,000 ways that won’t work.
-Thomas Edison  
私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。トーマス・エジソン

エジソンと同じ体験をした、ということです。

周りにどう思われようと、行動したこと、そして思い通りにはならずに退却したこと、それは身体に刻まれた力になるでしょう。

時に戻ることも、時に「これはこれで、やっていこう」と進むことも、その人の中から出てきた結論は、美しいなあと思います。

年中の娘さんが、「お母さん、○○が早く寝たら、刺繍ボール作れるでしょ! 早く寝るから、がんばってね!」と、応援して、完成をすごく楽しみにしているそうです。

「まだかなあ、まだかなあ」と待ち望む気持ち。

そのわくわく、楽しみな時間は、最高の贈り物です。

何でもポチッと買えちゃう時代においては、とっても貴重ですね。

刺繍ボールは、たくさん待たせてくれるアイテムです。

Dさん --- 自由があるのがうれしい

めんどくさいと思ってたけど、だんだん楽しくなってきた、とおっしゃいます。

そう、刺繍ボールは、楽しくなり始めるまでの下準備が、長いですね。

そこで下山しないで、付いてきてくれてよかった!(笑)

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この日が2回目。まだまだこれからです。

作り方に自由があって、楽しいです、とのこと。

娘はすっごく喜ぶと思う! 

そう穏やかにつぶやくDさんの笑顔が光っていました。

年々雑になっていく我が家の子育て……私も心を改めたいと思いました。

ボールを大きめにしたので、刺繍が多くなります。

「小さい方が楽だったかな」という言葉に、周りから「いやいや、小さい方が大変だよ」とすぐに声がかかります。

その通り。よくお分かりです。

小さいと、ひと針、ひと針がすごく響くので、調整が難しいのです。

小さい方が大変なもの……それは子育ても同じですね。

身辺のお世話もそうですが、「幼ければ幼いほど、心の通わせ方が大変」と思います。

赤ちゃんは「まだ分かっていないから」とか、「分かっていないうちに癖を付けちゃう」とか言われちゃうことがありますが、ずいぶんと失礼な言い方ですよね。

新生児を抱っこしたことがある方は、その時、その赤ちゃんに全部見透かされているような、問われているような気がしませんでしたか。

言葉が出る前の赤ちゃん時代は、いつだって全部分かっている、一番敏感な時なのにな、と思います。

そんなこんなで、刺繍ボール連続講座全3回が終了いたしました。

ご参加いただいた皆様に、心から拍手&感謝です。

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